クリークス・シュピール通り

「人生」というゲームの戦友たちへ

文章の読めない大人にこそ、ゲームブックを読んでほしい。

あ、「ゲーム」と聞いて後ずさりしないでね。


今さらこれを引っ張り出したのは、わけがあるのです。


「みなさん、本を読んでますか?
そして、文章を読んでますか?」
と、いうこと。

  1. ゲームブックって何?
  2. ゲームブック「ソーサリー」
  3. 本を、そして文章を「読む」

1.ゲームブックって何?

ゲームブック」を知らない方のために解説すると、
「幾通りものストーリーを楽しめるように書かれた本」
とでもいいましょうか。
ゲーム仕立てなので「ゲームブック」なのです。

ストーリーは段落ごとに分けられ、
通し番号が振られています。

読み手は、最初の段落(1番)から読み始め、
段落の終わりに選択肢があり、
「きみが○○をするのなら、この段落に進むこと。
或いは△△をするつもりならば、あの段落に進みなさい」
と、読み進める段落の番号が書かれています。

そうやって、本の各ページを行ったり来たりしながら
ストーリーを読み進めていく本なのです。

え? 読むのが面倒くさい?

巷のマニュアル本だって番号振られてて
「○○の場合はX番へ、△△の場合はY番へ」
って書いてあるじゃないですか? それと同じです。

え? 本のページをめくるのが面倒くさい?

辞書だって、ページをあちこちめくる本じゃないですか。
調べたい単語が出てくるまでページを前後しませんでしたか?

似たような本が他にもあるんだから、
ゲームブックだけが面倒くさいという理由はないですよ。

2.ゲームブック「ソーサリー」

代表的なゲームブックを紹介しましょう。
およそ1400ページ、全4冊の大作ゲームブックです。
物語としては西洋系ファンタジーです。
はいはい「ファンタジー」って聞いて後ずさりしないで。

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読み進めるにあたって必要なのは、紙と鉛筆と消しゴムとサイコロ。
付録で記録用紙が付いてます。これに随時メモしていきます。

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諸事情でサイコロを用意できない方のために、
ページの隅っこにサイコロの目が印刷されてる親切設計。
パラパラとめくってるうちにどのページを開いてたか忘れたりしないように、
栞があるとさらに便利ですね。

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ちなみに、記録用紙の裏には物語世界「カクハバード」の地図が。
雰囲気が盛り上がってきましたね~。きたでしょ?

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そして、ゲームルールをしっかり頭に入れたら、
鉛筆片手にページをめくっていくわけです。

ゲームブックが面白いのは「全部読まなくていい」ということ。
ストーリーの選び方によっては、第1巻で終わってしまいます。
第4巻の感動のラストにたどり着くには、
たくさんの困難を乗り越える必要(サイコロ運も少々必要)があります。
そのため、同じ本を何度も何度も読み返すことになります。

 

3.本を、そして文章を「読む」

ゲームブックは、本を読む楽しさを再創造していると思います。
この後、どんな出来事が待っているんだろう
という新鮮な期待を何度も与えてくれます。

ゲームブックは、ゲームルールを理解しないと面白くありません。
ルールを無視して読み進めても構わないですが、物足りなさを感じるでしょう。
そのためには「きちんと文章を理解する」ことが大切です。

ストーリーを進めるために、自分のたどってきた道を憶えておかないといけません。そして、自分の判断がどんな結果につながっているかを読み取らないといけません。
そのために「行動するために文章を読み取る」ことが大切です。

学校で「文字」を読むことは教わりました。
でも、「文章」を読み、考え、判断することは…?

学校の勉強だけでは終わりません。一生続きます。

大人になっても「文章」と向き合い続けないといけない。
毎日の暮らしの中に「読む」という行為は避けられませんから。

  • 「ランチの時間は禁煙です」という案内
  • 「ペットを連れての入店はご遠慮ください」との断り書き
  • 「赤い線に沿って並んでください」という立て看板
  • 「係員の指示に従ってください」という電光掲示板
  • 「このプログラムを実行してもよろしいですか?」というPCの画面
  • 「20歳以上であればボタンを押してください」というコンビニのレジ
  • その他いろいろ

こういった「文章」が読めない大人がしばしば見受けられます。

もっと本を、文章を読むべきです。
(おっと、電子書籍はダメとはひとことも言ってないです)

ゲームブックでもいいから、本を読みましょう。
ゲームブックで遊びつつ、文章を読みましょう。


もっともっと、ものわかりのいい大人になりましょうよ。

 

 

 

魔の罠の都―ソーサリー〈02〉 (Adventure Game Novel)

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諸王の冠―ソーサリー〈04〉 (Adventure game novel―ソーサリー)

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